大日本帝国陸軍第五収容所system:CoC6版
導入 | ごく普通の生活を送っていたあなたがたの隣に、前触れもなく停止したごく普通の自動車。なんだ、と狼狽えているうちにそこからどやどやと出てきた屈強な男達にたちどころに囲まれ、警察手帳を見せられます。あなたがたは警察から任意同行を求められ、例え拒否したとしても彼らはあなたを拘束し、目隠しと猿轡をして車に放り込んでしまいます。 彼らは運転をしている間ずっと無言ですから、彼らの目的やどこへ連れて行かれるのかはわかりません。 ・主な可能行動 【目星】をすると、この路地にはたまたま、偶然、誰もいないことがわかります。誰もあなたが連れ去られる場面を見ておらず、土地勘のある場所でこの出来事に遭遇したなら、ここは監視カメラもない場所だということがわかるでしょう。 【法律】技能で、任意同行には無理に従う必要はないということもわかりますが、そう言って拒否した場合でも彼らは無理矢理にあなたを車に押し込めてしまいます。これにより警察が偽物であることもわかるでしょう。 車に乗せられた後【聞き耳】をすると、暫く走った車はがたがたした悪路を走っており、もしかしたらこの車は道路も舗装されていない辺鄙な山道を行っているのではないかということがわかります。 あなたがたはじきに目隠しと猿轡を取られ、なんとも圧迫感のある古いコンクリート壁の一室に押し込まれるでしょう。そこは埃と瓦礫だらけであり、唯一の出入り口になりそうな鉄の扉はしっかり施錠されています。 あなたがたはそれぞれ1-a、1-b、1-cの部屋に別れて閉じ込められ、パート2、廊下で合流することができるでしょう。 ※KP向け情報。より緊張感のあるプレイングをさせたい場合は個別チャットなどで情報を処理し、互いの顔が見えた時点で合流させるとよいでしょう。 また、人数の都合によっては1-cの部屋を開始地点から外しても構いません。 この時点で私物は全て取り上げられてしまいます。 |
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刑務所MAP | |
1:個別導入 | 1-a:十一房 ※個別導入-1 ここは小さく不潔な一室です。壁はあちこちが剥がれ、古びたコンクリートが剥き出しになっています。 あなたはこの辛うじてトイレだけがあると言っても間違いではない狭い一室に閉じ込められてしまいました。体の自由は奪われていないものの、決して楽観視できる状況ではありません。 高い場所にある窓からは日が降り注いでいますが手は届きそうにないですし、鉄でできた強固な扉はしっかりと施錠されています。 ここは内側にも鍵穴があり、内鍵もかけられる部屋だということがわかります。ここでは監視のための小窓は壊れているのか、木ですっかり塞がれています。足元にある狭い隙間以外、外の様子は少しもわかりません。 また、奥の壁に血で書いたように退色した真っ赤な色でかでかと数字が書かれているのがわかります。 《321 100 166 500 344 122 588 322 599 022 411》 ※KP向け情報。この暗号の意味は《カギハトクベツボウニ》です。 ・主な可能行動 【目星】で小さな銀色の懐中電灯が転がっているのがわかります。前にここに閉じ込められた人が落としていったものでしょうか。電池も入っており、まだ使えるようです。 【鍵開け】をすれば鍵がなくとも自力で内鍵を開けることもできるでしょう。 部屋の中を一通り見終わると、ぱたぱたという鳥の羽音が聞こえます。【聞き耳】に成功すれば、それは鉄格子の嵌った高い窓から聞こえてくるようだとわかります。成功しなくても、辺りを見回せばその姿を見ることができるでしょう。 それは、羽に裂け目の入った大きな蝶のようなシルエットをしていました。あなたがぼんやりとそれを見ていると、それはひらひらとと窓から中へ入ってきて、窓枠に止まります。 それをじっくり見たあなたは気が付くでしょう。その蝶は、決して昆虫の薄い羽を持ったものではなく、人間の両手を手首から先切り落とし蝶のような形につなぎ合わせただけの奇怪な肉塊であることに。 この異形の落とし子を見たあなたは〔0/1d4〕のSAN値チェックです。 ※これの正体はゴフン・プーパジ・シュブ=ニグラスであり、ムーンレンズの守護者により姿を変えられた犠牲者の末路です。 それは物理法則の一切を無視した形状で、親指の先に赤子のそれのような小さな剥き出しの眼球を付け、もがくような仕草で指をもぞもぞさせながらふらりと宙に向かって飛び出しました。 はたはたと爪のない赤黒い指先をした異様な生物はあなたの上をぐるぐる回ると、不意に力尽きたかのようにぽとりと地面に落ちてしまいました。そうしてまるで蟹のように八本の手指でもそもそと地面を這い回ると、あっという間に埃だらけの便器の中に潜ってしまいました。 この時、この不可解な虫に似た肉塊はあなたに向かって這いよじ登ろうとしても構いません。 あなたが嫌がり払いのけると、この生物は地面に叩き付けられその手を広げ、そそくさと逃げ出します。便器の中をかちゃかちゃ音をたてながら歩き、しかしあなたは気付くでしょう。爪のない柔らかな肉だけの生物が硬質な音をたてることはできないと。 おそるおそる便器の中を覗いたあなたは、その奥に銀に光る鍵を見つけることができます。なんとか手が届きそうなそれを取れば、この個室から抜け出すことができそうです。 鍵を開け、外へ出るとそこは暗い廊下。あなたがいた部屋には「房一十第」と黒々とした文字で書かれており、廊下の右手は崩落した瓦礫に塞がれて通れそうにありませんでした。 *** 1-b:二十五房 ※個別導入-2 そこはあまりにも小さな刑務所の一室でした。 ひとひとりが入っただけでもなんだか窮屈に感じてしまうような刑務所の檻の中。がっちりと施錠されたそこにあなたは閉じ込められているのです。 地面は壁がはがれたと思しきコンクリート片だらけでとうていくつろげるような環境ではなく、ベッドもない埃だらけの室内は不衛生極まりないでしょう。力づくではどうやっても開きそうにない、囚人を閉じ込めるための頑丈な扉。 監視用の小窓はあなたが少し背伸びすれば廊下の様子が見えるくらいの高さ。部屋の奥には埃が溜まり黄ばみより薄灰色がかった印象が強い白便器があり、しかし遮蔽物のない場所では扉についた小窓から覗かれれば全て見えてしまうでしょう。 ・主な可能行動 【目星】で壁の隅に落書きのような数字列があるのがわかります。 《321 933 555 733 244 022 144 055 100 588 444 044 122 055 100 122 211 588 700》 ※KP向け情報。この暗号の意味は《3バンソウコ*カベノオク*カクシベヤ》です。 【聞き耳】をすると成否に関わらずイベントが起きます。あなたのいる部屋に向かって、こつーん、こつーんと音をさせながら固い靴音が響いてきます。 この部屋にはどんな隠れる場所もありませんから、あなたはなすすべなく無防備な部屋の中で音の主を待つしかありません。 時折ざりざりと古びた土を踏みしめるような音もさせながら、その音は次第に近づいてきます。こつん、ごつん…音はあなたの部屋の前でぴたりと止まり、しかしあなたを監視するための小窓からはどんな姿も見ることはできません。その代わり、扉の下のほんの僅かな隙間から、男の革靴が見えるでしょう。 ここで【幸運】を振らせ失敗する、もしくはあえて覗き窓から覗いてみると、あなたを監視するための小窓からちらちらと人間の口のような裂けめをいくつもくっつけた植物の蔓に似たものが見えることがわかります。 それは黒くうねって動いており、まるで暗い木の枝が動物の運動器官を得て動き出したような、おぞましい形状。のたうち回る植物の蔦があなたのいる独居房の覗き窓をじゅるじゅると這いまわり、どこに知覚器官があるのか、蛆虫のように蠢く先端で除き窓の断面をなぞり上げました。 これを目撃したあなたは〔0/1d4〕のSAN値チェックです。 ※KP向け情報。これの正体はゴフン・プーパジ・シュブ=ニグラスです。 この頭も腕も胴体の半ばすら失った哀れな男は、何を考えているのか、最早脳の場所すらどこかに移動してしまったのか、あなたに何も危害を加えることなくこつこつと革靴の音をさせて通り過ぎてしまいました。 それと同時に、何か金属をその触手のような胴体に引っ掛けたのか、鍵の束がちゃりんと地面に落ちるのが見えます。目の在処も耳の所在もわからないこの男には鍵束が落ちたこともわかりませんし、そのまま歩いてどこかへ行ってしまうでしょう。 あなたがその鍵束を拾って食事を差し入れるための郵便受けのような穴から腕を出し四苦八苦しながら鍵を開けるころには、すっかり姿は見えなくなっていました。 この部屋を出たあなたは、この部屋の扉には「房五十二第」とでかでかと、いかにも古めかしい木の板に書かれていることがわかります。左右を見れば左手にはひとつふたつの部屋と階段が、右手の廊下は崩れて通れないようだと言うことがわかります。 *** 1-c:特別房 ※個別導入-3 もしくはスタート地点ではない部屋 ここは真っ暗な部屋です。窓もなく、監視のための窓もほんの覗き穴程度で全く灯りがさしてはきません。 床を触ればざらざらとした土の感触、すぐ傍にある壁も剥落が進み、いかにも老朽化していることがわかるでしょう。ここでは懐中電灯などの灯りを使わない限り目星技能に常に-20の補正をかけてください。 あなたが辺りを見回すと、小さな覗き窓から辛うじて外の灯りが射してきており、それに照らされて古く黄ばんだ紙切れが床に落ちているのがわかります。これは大部分が虫に食われており、読めるのは最初の一部分のみのようです。 《321システムによる暗号の周知を求める。読後焼却するなど必ずこれを破棄すべし……000あ、011い、022う、100か、111き、200さ》 しっかりと外から閂をかけられた部屋ですので、内側からはどうあっても開くことはないでしょう。あなたは誰かが外を通りかかるのを待つことしかできません。 ・主な可能行動 【目星】で部屋の隅に小さな鍵束が落ちているのがわかります。鍵束の鍵にはそれぞれ《作業棟》《屋上》《三階看守室》とあります。 また、もそもそと動く小さな動物の影を見ることができます。それは鼠のようですが、よく見ればその背中の真ん中に人間の口が開いているように見えました。 それはぱくぱくと餌を求めるように蠢き、肉色の舌をてらりとちらつかせています。この冒涜的な生物を見たあなたは〔0/1d4〕の正気度を喪失します。 |
2:廊下 | 2-a:一階廊下 一階の廊下です。両側に部屋が並んでおり、大変薄暗い場所です。 真ん中に巨大な瓦礫片が落ちてきており、ここを通ることはできません。また、この瓦礫に埋もれた「房二十第」「房七十第」には入ることはできません。 階段はところどころ崩れていますが、辛うじて上り下りすることはできます。階段は廊下の両側についており、どちらも二階へ上ることができます。 廊下の先には鉄格子のついた鉄扉があり、そこも外からがっしりと施錠されているため外に出ることはできないようです。 ただひとつ異様なのは、一階看守室の隣にある扉は鉄条網でびっしりと覆われていることでした。 ・主な使用可能技能 【目星】に成功すれば鉄条網の奥に見えるここの鍵は壊れているようだとわかります。 このままでは触ることすらままなりませんが、鉄条網さえどうにかすれば中に入ることができそうです。 *** 2-b:二階廊下 二階の廊下です。こちらも薄暗い廊下であり、真ん中は床板が腐り落ち巨大な崩落が起きているため通ることはできません。 【跳躍】を使えば通ることもできそうですが、失敗した場合鋭い木片やコンクリート片、鉄筋により大きな傷ができてしまいd4ポイントのHPを喪失します。 この崩落の正面にある「房二十二第」「房六十二第」「房七十二第」には入ることはできません。廊下の両側には階段があり、ここから三階、一階へと行くことができます。廊下の先には鉄扉があり、そこには黒い文字で「作業棟」と書いてあります。ここにも鍵がかかっています。 また、二階から一階へ降りるための右手の階段には鉄格子が降り、鍵がかかっています。ここを通り一階右側に行くためには【鍵開け】もしくは鍵を探さねばなりません。 *** 2-c:三階廊下 ここは小さな覗き窓しかない暗い部屋ばかりが並んでいます。 独房の立ち並ぶこの廊下はまだ損傷が少なく、どこでも歩いていくことができるでしょう。廊下の両側には二階へ続く階段と、屋上へ続く階段があります。屋上へ続く階段には鍵がかかっており、【鍵開け】に成功するか鍵を持っていれば入ることができるでしょう。 また、三階にあるプレートのかかっていない部屋は際立って見るもののない部屋です。 |
3:刑務所1階の部屋 | 3-a:十三房 古びて壁も剥落した、探索者たちが閉じ込められていたのとよく似た部屋です。鍵がかかっており、【鍵開け】もしくは鍵を所持していれば開けることができます。 古く埃っぽいベッドの上に手帳が置いてあり、それは大部分が破られてしまっているものの、こう書かれています。 《●月●日 奇妙なものを見た。人間の頭だけが窓の外に浮いていたのだ。信じられない、あんな人間を冒涜したような…それに、あの顔は。先日辞めていった同僚と同じ顔をしていたような》 3-b:十四房 鍵のかかっていない狭い部屋です。辺りを見回せば消火器がごろりと転がっています。使用された形跡はなく、使うことができそうです。 ※KP向け情報。蜘蛛男の撃退ポイントです。この部屋に蜘蛛男をおびき寄せる、もしくは他の部屋で消火器を使用することで蜘蛛男を天井から落とすことができます。 天井から落とされた蜘蛛男は弱く、戦闘に入りますがすぐに逃げていってしまいます。 ―――――――――――――――――――――――――― 祝福されし仔の一葉・彷徨う蜘蛛男 STR:16 DEX:18 INT:10 CON:5 POW:10 SIZ:7 H P:6 M P:10 幸運:50 回避:36 ダメージボーナス:0 ・武器 投石:50%(1d3) ・装甲 なし [特記] 天井張り付き時は投石ダメージ1で固定。天井から落ちた時は1ターンで体勢を立て直し、次ターンで逃げに徹する。 天井張り付き時は探索者からの攻撃は「投擲」など天井へ届く攻撃でなければ通用しない。 ―――――――――――――――――――――――――― 3-c:十五房 全く同じつくりの小さな狭い部屋です。扉は壊れており、触ればきぃきぃ音をたてて開くでしょう。やはりこの部屋も瓦礫が散乱しており、埃っぽい空気が漂っています。 ・主な使用可能技能 【目星】で瓦礫の下に何か動くものを見ることができます。それは地面から生えた肉色の花でした。 人の皮をうすく伸ばし爪を張り付け重ねたような白っぽくざらざらとした花弁の中心に、丸く穴が開いています。それはウニやイカの口を思わせる、丸く落ちくぼんだ口吻でした。ちらちら人の歯のようなものが穴から覗き、もしここに指でも近付けようものなら食いちぎられてしまうでしょう。 それはまるでこれが葉だと言わんばかりに人間の赤ちゃんのような小さな足底を茎の下部から生やし、もぞもぞとすわりが悪いような様子で動いていました。人間の部品を無理矢理植物の形に押し込めたような冒涜的な生物を見たあなたは、〔0/1d4〕のSAN値チェックです。 3-d:十六房 ここも囚人が入るための小さな部屋です。鍵がかかっており、【鍵開け】もしくは十六房の鍵で開けることができます。 この部屋には古い書類が積み重なっており、それが埃をかぶって部屋の隅に置かれています。ぱっと見たところ、ほとんどがこの刑務所に誰が入った誰が出所したなどの名前と日付がつらつら書かれた退屈な紙切れのようです。 ・主な使用可能技能 【図書館】もしくは【目星】で一枚の紙の裏に誰かが書き殴ったような文字を見つけることができます。 《俺にはわからない。どうしたらいいのか、どうしてこんなことになっているのか。出所扱いになっている罪人が皆この刑務所を出もせず行方不明だなんて……。 どうして誰も気付かないんだ。いや俺も罪人の家族にたまたま会って話を聞かなければ気付きもしないし不審にも思わなかった。出所したはずの罪人の姿を誰も見ていないだなんて。 そういえば正門が罪人を収容する目的以外で開けられたのはいつが最後だった…?もしかしたらそんな光景、誰も見ていないんじゃないのか。刑期を終えた罪人が出所する光景なんて》 3-e:十八房 崩落に巻き込まれたのか、壁が崩れそこから入ることができそうです。ぼろぼろになった部屋の中には瓦礫が散乱しており、足元に気を付けながら歩く必要がありそうです。日差しは相変わらず窓から差し込んでおり、部屋の中はじゅうぶんに見ることができます。 また、この部屋の壁は大きく亀裂が入っており、少し力を込めて殴ればぼろぼろと隣の部屋との境が崩れてしまいそうです。この壁を壊すことで一階看守室に入ることができます。 ・主な使用可能技能 【こぶし】や【キック】などの戦闘技能を使うことで、隣の看守室に通じる壁を破ることができます。合計10ポイントのダメージを与えれば壁は簡単に崩れ落ちるでしょう。 |
4:刑務所2階の部屋 | 4-a:二十一房 鍵の壊れた部屋です。この部屋は外から閂がかけられており、内側から開けることは無理でしょうが外からなら簡単に開けることができそうです。 この部屋には壁に赤い数字が書かれています。《321 622 266 322 444 322 611 411 333 144 844 200 833 822》 ※KP向け情報。暗号の内容は《ムジツノツミニテコロサレル》となります。 4-b:二十三房 この部屋にも鍵はかかっておらず、少し力を込めただけで開きそうです。 この部屋には大量の蜘蛛の巣がかかっており、監視用の小窓を使い外から【目星】することでそのような状態であることがわかるでしょう。中に入ると、あちらこちらにかかった蜘蛛の巣の上、あなたがたの真上に異様に細長い手足をした人間のような昆虫のような生物が待ち構えているのがわかります。これを目撃した探索者は〔0/1d4〕のSAN値チェックです。 探索者がこの部屋に入り、お互いの姿をはっきり認識するとこの生物は探索者を餌と見て追ってきます。 この生物は探索者が部屋の扉を開ける、階段を上り下りするなどの大きな移動をするたびに探索者に固定1ダメージでの投石(命中50%)による攻撃を仕掛けます。 この生物は探索者が他の部屋に入ったとしても自分も後を追って中へ入ろうと腕を伸ばしてきます。内側から施錠するなら逃れることもできますが、鍵のない部屋であればSTR16とのSTR対抗が必要です。 失敗すれば部屋の内部に侵入されてしまいます。上手くやれば閉じ込めることもできそうですが、普通の部屋ではこの蜘蛛男は扉を破り逃げ出してしまうでしょう。 4-c:二十四房 鍵の開いた部屋です。少し見れば鍵はこの部屋の鍵穴に突き刺さったまま根本がぽっきり折れているのがわかるでしょう。誰かが鍵をかけようとして壊してしまったかのようです。 この部屋も全体的に埃っぽく、誰かが出入りしていたのか壁の剥落は他のところに比べて少しはましだという程度です。埃で汚れたベッドの上にはバットや木材など、何か武器に使えそうなものが転がっています。 ・主な使用可能技能 【目星】でバット、バールなど好きな殴打武器を取得できます。 4-d:二階看守室 随分使われていないような古い看守室です。ここにかけてあったはずの鍵は誰かに持ち去られているようで、それらしいものを見つけることはできません。 ・主な使用可能技能 【目星】に成功すれば、完全な暗号表が手に入ります。 |
暗号表 | |
5:刑務所3階の部屋 | 5-a:第一独房 この部屋の鍵は開いていますが、天井がすっかり崩れ中は崩落しています。瓦礫があちこちに転がって部屋を埋めており、この部屋を調べることはできそうにありません。 5-b:第二独房 扉は錆びついていて開きません。この部屋の中を伺うなら小さな覗き窓から中を見るしかないでしょう。 ・主な使用可能技能 【目星】で部屋の中を伺うことができます。 部屋の中は肉色のぷつぷつとした突起が、まるで肉でできた植物、または人間の腸の内部とはこのような光景なのだろうかと思うほどにびっちりと生えていました。 それは外からの風を受けそよそよと、日の光を受けててらてらとその肉片を風にそよがせています。よく見ればその肉でできた草原にはぼつぼつと人間の手足が、まるで骨など存在しないかのようにその身をだらりとくねらせて壁から、天井から、部屋の至る場所から生えているのでした。 これを見てしまったあなたは〔0/1d4〕のSAN値チェックです。 もし部屋にどうしても入ろうというのなら、【STR20】とのSTR対抗に勝利することが必要です。ここでは二人までの力を合わせることができます。 人間が入ってきたことを察知したこの肉塊は、うねうねとした肉の突起をそちらに伸ばし、捕食しようとしはじめます。この際【回避】に失敗したなら、肉塊から出される酸で1のダメージを受けるでしょう。 部屋の中に入ったなら、あなたがたは更に衝撃的な光景を目にします。覗き窓からはどうあっても見ることができなかった暗い天井。 壁にびっちりと生えた肉色の突起は天井に胴体を埋め込んだ人体らしい何かの裂けた腹部からどろどろと零れていたのがはっきりと見えるのですから。それはまるで人間の腸壁を切り開き壁へと埋め込んだかのようにも。落ち窪んだ眼窩は既に意識を宿してはいないように見え、食虫植物のように変化してしまった人間の姿に追加で〔0/1〕のSAN値チェックです。 5-c:第三独房 他の部屋と変わったところは見当たらない、ごく普通の部屋です。誰かがこの部屋に入っていたのでしょうか、他に比べて埃が薄いような気もしますがそれっきりです。鍵もかかっていません。 ・主な使用可能技能 【目星】でまた暗号を見つけることができます。ベッドの頭の方、壁に書かれたそれはなんとか剥落を免れており、もう一年もすればすっかりわからなくなっていたであろうことがわかります。 壁に書かれた暗号は《321 211 744 311 744 022 055 011 300 733 444 100 611 055 000 155 633 333 011 822》とあります。 ※KP向け情報。この暗号の意味は《ショチョウ*イタンノカミ*アガメテイル》です。 5-d:リネン室 随分長く放置されたような、古い衣類やタオル、シーツ、布団が置いてある部屋です。灰色のツナギのような囚人服、大きなタオル、ベッドに使われていたであろうシーツが無造作に部屋の隅に置いてあります。 ・主な使用可能技能 【幸運】や【目星】で探索者が必要とする衣類を得ることができます。 5-e:三階看守室 鍵のかかった部屋です。【鍵開け】または鍵を使うことで入ることができます。 ここは他の部屋より損傷が少なく、まだ落ち着ける部屋です。机の上を見ると、大日本帝国陸軍第五収容所と題名に書かれた書類が置いてあります。この書類の中身はこの収容所の収容人数や見取り図などです。 ここで探索者にこの建物の見取り図を与えることができます。また、書類の端に鉛筆で書いたような黒い数字の列があることがわかります。 《321 555 133 644 444 611 300 055 311 100 399 022 411 011 822》 ※KP向け情報。この暗号の意味は《バケモノミタ*チカドウニイル》です。 その他:プレートのない部屋 ただ埃っぽいがらんどうの部屋です。ものはきちんと整頓されており、特に見るものはなさそうです。 |
6:屋上・作業棟 | ・屋上 屋上への階段は施錠されており、【鍵開け】もしくは鍵を使用することで開けることができます。屋上は高い鉄柵が覆っており、ここから飛び降りることはできそうにありません。 屋上に出た時点でゆっくり日が傾いていることがわかります。夕陽に照らされ、屋上に奇妙な造形物が建っているのがわかるでしょう。 それは鉄でできた細長く高い足場に、楕円のレンズを取り付けた不可思議なオブジェでした。レンズの周りには鏡がいくつも取り付けられており、それは全て凸レンズの方を向いていることがわかります。【神話技能】に成功したなら、これがムーン=レンズの守護者を召喚するための《ムーン=レンズ》であることがわかるでしょう。 これを破壊しようと探索者は試みるかもしれませんが、例え投擲で石を投げるのに成功したとしてもレンズが数個割れた程度では儀式には何も影響を及ぼすことはできませんし、鉄の足場も固く、重機でも持ち込まない限りは破壊できそうにありません。 ・作業棟 作業棟に入る扉はしっかりと施錠されており、扉の脇には赤い文字で「施錠確認」と書かれています。この扉は重い鉄扉であり、扉の取っ手に太い金属の鎖がぐるぐると巻き付いています。金属の鎖が南京錠で固定されており、この南京錠を開ければ扉も開けることができそうです。 【鍵開け】もしくは鍵を使用することで扉を開くことができます。 ここはとっくに物が撤収されており、がらんとした空間が広がっているのみです。 ここの窓にも鉄格子がはめられており、ここから逃げることはできそうにありません。 ※蜘蛛男に追われている場合、作業棟に入り内側から鎖を巻き付け鍵をかけることで蜘蛛男が作業棟の中へ入ってくることができないようになります。 もし中に入っても鎖を持ってこなかったり、鍵をかけないと選択した場合蜘蛛男は中へと侵入してしまいます。 あなたがたが作業棟に駆け込み扉を閉める。ほっと息を吐くとそれは想像通りやってきました。ガァン、鉄の扉に何かを打ち付けるような音。ガン、ガン、と断続的に続くそれは、あの細長い手足をした人間もどきの起こしているものに違いあるまい。何度も何度も執拗に扉を叩くそれは、しかしどうやっても開かないと悟ったのか、じきになんの音もしなくなりました。 あなたがたが必死に扉を押さえる、それを嘲笑うかのようにぬるりと細い手がどうしても閉まらない隙間から侵入してきます。そうしてぎちぎちとおそろしい音をたててゆっくり、ゆっくりと隙間が開いていく。あなたがたはそいつをこんなに間近で見たのは初めてかもしれない。それは人間の頭がい骨をすっかり縦にひしゃげさせたかたちをして、昆虫のようにぎょろぎょろした目玉を顔の両側にくっつけて。目尻の縦に釣り上がった、異常な容姿をしたそれは、辺りを見回すとあなたがたを見つけ、にたりと確かに笑ったのです。 恐怖を煽る光景に、〔1/1d2〕のSAN値チェックです。 蜘蛛男を侵入させてしまった場合、蜘蛛男からの攻撃が継続、もしくは蜘蛛男との戦闘ラウンドを適宜適応してください。 辺りを見回すと、作業用のズボンを履いた男の下半身が鉄格子に挟まってぶら下がっているのがわかります。【目星】を使う、もしくは調べるという宣言でこの男のズボンから銀色の煌めきが覗いているのがわかるでしょう。何かの鍵のようです。 この男に声をかける、もしくは様子を見ようと近づくと、男は突然びくんと体を跳ねさせて、急にじたばたともがきはじめます。あなたがたはそのもがく男の皮膚が、何か黒い樹木で覆われまるで人間のものとは思えないことに気が付きます。 挟まったままもがき続ける男。その男はがばりと上半身を起こし、まるで木の洞のような暗い落ちくぼんだ目鼻をこちらにじっと向けたかと思うと黒い植物の蔓を口からどぼどぼと吐き出しながらずるりとバランスを崩し、その薄っぺらな体を鉄格子の隙間からぼとりと落としていきました。 奇妙な植物人間を見たあなたがたは〔0/1d4〕のSAN値チェックです。 男は落ちていく時に鍵を落としていったようで、窓際には銀色の鍵が落ちています。この鍵には《階段》と書かれたプレートがついています。 ・倉庫 作業棟の奥にある倉庫の上部には黒い文字で「庫倉番三」と書いてあります。 もし暗号を解いていた場合、壁などを叩くと隅の方を押して開きそうなのがわかります。STR12との対抗ロールに成功すれば、隠し部屋に入ることができます。(このSTR対抗には二人まで力を合わせることができます) 倉庫の奥は奇妙な空間でした。重そうな本棚、壁にはあかあかと辺りを照らすランプがあり、どう見ても刑務所の内装とは思えません。 そして部屋の奥には奇怪に捩じれた樹木のオブジェがあるように見えます。壁には肖像画がかかっており、その肖像画はおよそこの世に存在するのかもわからないほどおぞましい姿をしています。 白い円柱の頭は丸く、黄色い目がびっしりと。それこそ無数に存在しているようです。そうして手のない真直ぐな胴体の下部から奇怪なまでに多くの関節を持った骨のような足が生えており、三本の背骨に似た器官が白い円柱から絵画の端へと突き刺さっているように描かれてありました。 明らかに黒魔術などの怪しげな気配がわかるこの部屋で誰かが何かを信仰していたということがわかります。 ・主な使用可能技能 【目星】でこの部屋の家具はまるで黒い樹木のような、それでいて捩じれた人間の皮膚のような不思議な素材でできていることがわかります。 【聞き耳】に成功すると、どこからともなく微かにうめき声のようなものが聞こえるのがわかります。それはこの部屋全体から聞こえてくるようでした。あなたはこの部屋の樹木に似た黒い肌が全て、人間ではないかということに気付き、〔0/1〕のSAN値チェックです。 【図書館】で《グラーキの黙示録Ⅵ》と書かれた本が本棚の中に混ざっているのがわかります。これは誰かが訳したのでしょうか、英語らしい古い原本の隣にカナ混じりの日本語の比較的新しい手書きの本が置かれています。この本は望むなら持って行くことができるでしょう。 《グラーキの黙示録Ⅵ・日本語訳版》 読んだ人間に〔1d3/1d6〕のSAN値チェックを行い、【クトゥルフ神話】を7ポイント与える。 研究し理解するために14週間が必要。 習得できる呪文 ・シュブ=ニグラスの招来/退散 ※経過時間の関係上、呪文の習得はセッションが終了してからのみ行うことができます。 本の内容はゴーツウッドという村における、シュブ=ニグラスやムーン=レンズの守護者に関するカルトを記したものです。 また、日本語訳の本の間に古いメモが挟まっているのがわかります。 《ムーンレンズを屋上に設置し……お祀りする…だ……月光により……再び目覚め……生贄……》 字は掠れてほとんど読むことはできませんが、以上の言葉が読み取れます。 |
7:1階看守室 | 古びてはいますが他の部屋よりしっかりとしたつくりをしています。仮眠用のベッド、事務作業をするための机、それにマニュアルなどが入った本棚。奥には簡素なつくりのシャワーやトイレ、給湯室もあるようです。 ※一階の看守室に辿り着いた時点で、だんだんと夜が近づき廊下は暗くなっていくという描写を行ってください。以降、懐中電灯を持っていない場合は目星に-20の補正がかかります。ただし一階の看守室は電気をつけることができますので、この限りではありません。 ・主な使用可能技能 【目星】でデスクの上の鍵置き場に一階全ての部屋の鍵を開けることができる《一階のマスターキー》を見つけることができます。 【幸運】や【目星】でこの部屋にありそうなものを探し手に入れることができます。ここはまだ人が使っていたらしい気配が残っており、マッチやメモ、ボールペンなど、こまごましたものが置いてありそうです。ここには水道も通っており、少し腰を落ち着けることができそうです。 ひととおり行動をした後イベントに移行します。 あなたがたの視界の端に黒い影がちらりと映ります。 それは今まで何度も見た異形の生物に似ているようで、あなたがたは見たくないと目を背けるかもしれませんしどこへ向かっているのかと追いかけて見てしまうかもしれません。 その影は素早く給湯室へ潜り込むと、そのままどこかへ消えてしまいました。【聞き耳】を行えばバタンという重い扉が閉まる音、【目星】もしくは【アイデア】で、床下収納のような扉が床についているのがわかります。 この扉を開くと、まるで手で掘り進めたかのような凸凹とした壁の洞窟に繋がっているのがわかります。古びた梯子が下がっており、ここから中へ行くことができそうです。 |
8:クライマックス戦闘 | 洞窟の中はぽつぽつと豆電球のような灯りが下がっており、薄暗い橙色がぼんやり辺りを照らしています。あなたがたがおそるおそる進んでいくと、遠目に黒い人影が見えます。 そこには今日あなたがたを襲った黒服の男たち、それに痩せ細った黒いローブの男が何か恐ろしい肖像画に向かって祈りを捧げているところでした。 その肖像画は、およそこの世に存在するのかもわからないほどおぞましい姿をしています。 白い円柱の頭は丸く、黄色い目がびっしりと。それこそ無数に存在しているようです。そうして手のない真直ぐな胴体の下部から奇怪なまでに多くの関節を持った骨のような足が生えており、三本の背骨に似た器官が白い円柱から絵画の端へと突き刺さっているように描かれてありました。 あなたがたが三番倉庫奥の隠し部屋を見つけていたのなら、そこにあった肖像画と全く同じだとわかるでしょう。 「もうすぐ時間だ、我らが偉大なるムーン=レンズの守護者を出迎えねば!」「生贄を引っ立ててこい!」男たちは口々に言いながらあなたがたの方へと近づいてくるようです。不意打ちをするならあなたがたのターンから、そうでないならこの黒山羊のカルトに見つかり通常の戦闘を行います。 ―――――――――――――――――――――――――― 黒山羊のカルト・戦闘員1 STR:15 DEX:11 INT:11 CON:14 POW:18 SIZ:13 H P:14 M P:18 回避:22 ダメージボーナス:+1d4 ・武器 こぶし:60% (1d3) 組み付き:25% (1d6) ・装甲 なし [特記] 探索者の攻撃対象に教祖が選ばれた場合、身を呈して彼を庇う。庇うの成功判定は探索者とのDEX対抗で行う。受けるダメージは通常通り。 ―――――――――――――――――――――――――― 黒山羊のカルト・戦闘員2 STR:10 DEX:15 INT:12 CON:10 POW:15 SIZ:10 H P:10 M P:15 回避:30 ダメージボーナス:0 ・武器 こぶし:60% (1d3) 組み付き:25% (1d6) ・装甲 なし [特記] 探索者の攻撃対象に教祖が選ばれた場合、身を呈して彼を庇う。庇うの成功判定は探索者とのDEX対抗で行う。受けるダメージは通常通り。 ―――――――――――――――――――――――――― 黒山羊のカルト・教祖 STR:7 DEX:18 INT:17 CON:10 POW:18 SIZ:11 H P:11 M P:18 回避:36 ダメージボーナス:0 ・武器 なし ・装甲 なし ・呪文 シュド・メルの赤い印 印を描くのに1d8の正気度と3MP、それに1ラウンドを要する。次ターンから印の効果が発動され、術者は毎ターン3MPと1HPを失う。また、印を保つ以外の行動を行うことはできない。 印から10m以内にいる者全てに毎ターン1D3のダメージ。印から30m以内にいる者全てに毎ターン1ダメージ。30m以上に離れていればダメージなし。また、壁の後ろや木の板などの不透明な障壁の後ろに隠れれば印の効果から逃れることができる。 また、この術者はMPを18しか持たないため、4ターンまでしか印を保つことはできない。 この呪文は体を痙攣させ、血管や内臓を引き攣れさせ、むごたらしい苦痛を人々に与え殺すための呪文である。 ―――――――――――――――――――――――――― 信者たちとの戦闘は参加しているプレイヤーの人数や武道持ちなどの戦闘能力で増減を行ってください。また、その場合は戦闘員に手を加え、必ず教祖は戦闘に参加させてください。 信者との戦闘に勝利→エンドAへ 信者との戦闘に敗北→エンドBへ |
9:エンディング | エンドA【ムーン=レンズの守護者からの加護】 あなたがたが戦闘に勝利するとその場に倒れた黒いローブを着た男が、悲痛な声を上げながら洞窟の奥、行き止まりに向かって走り出します。どこにそんな力があったのかというほどに必死に、ひしゃげた体をばたつかせながら行き止まりに辿り着いた男はにやりと不気味な笑みを浮かべると、「いあ、いあ、偉大なる千匹の黒山羊の母よ! 大いなるものが遣わせしムーン=レンズの守護者よ!」と不気味なものの名前を呼び始めます。 信者の呼びかけに答えて巨大な岩の扉がずず、と動き出します。探索者はここで何か恐ろしいものを感じて目を背けても構いませんし、正気度に自信があるのならしっかりとその正体を見極めるために直視しても構いません。 それはぶよぶよとした白い肉の柱でした。ゼリー状の透明な頭部には涙で潤んだ黄色い目玉が無数についており、それが四方八方をぎょろぎょろと睨みつけながらこちらへと這って出てきます。あの冒涜的な絵画をより肉々しくした姿をしたこの大いなる神を見たあなたがたは、〔1d10/1d100〕のSAN値チェックです。 そうしてそのゼリーのような頭を持つ偉大なるものは勝ち誇る教祖と動けずに横たわるその信者らを、ただ自分に近かったというそれだけの理由でばくん、とひと呑みにしてしまいました。 透明な頭の中で虫のように蠢くそれらを飲み込み満足そうにすると、もしこちらを見ている探索者がいた場合、その勇気ある人間のうちの特に気に入ったひとりに向かって裂け目もなにもない口で語り掛け始めます。 「生贄は確かに受け取った。お前は新しい司祭か?」 それは頭の中に直接響くような、探索者の母国語では決してありえない文字列であるというのに意味を完全に理解できてしまう不思議な言語でした。探索者が頷こうと否定しようとムーン=レンズの守護者は何も気にせず鷹揚に頭をもたげると、 「私はお前を気に入った。お前がいつでもここへ来れるよう、この洞穴に開かれし門の言葉を教えよう」 と言います。これによりムーン=レンズの守護者に気に入られた探索者は「門の創造」の呪文を授けられます。 ムーン=レンズの守護者はその巨体を揺すりながら哀れな教祖らを飲み込んだまま、洞穴の奥深くへ戻っていきました。 ムーン=レンズの守護者の姿を見ないと選択した探索者は、謎の威圧感が消えたことを感じおそるおそる目を開けることができるでしょう。そこにはなんの脅威も残ってはいません。あなたがたは教祖らがいた場所に、ペンキで描かれた白い何かの魔法陣のようなものと、小さな銀の塊を見つけることができます。 門の創造の呪文を授けられた探索者がいた場合、MPを1支払うことで魔法陣を通り抜けることができます。この魔法陣は近くの都市の空き倉庫の一室に繋がっており、そこからならどんな探索者も電車やバスなどの交通機関を使って帰ることができるでしょう。 誰も呪文を授けられなかった場合、銀色の塊を見ればそれはワイヤーカッターであることがわかります。これは一階にある鉄条網を切るために使うことができ、その場合一階の鍵の壊れた出入り口から古びたこの施設を抜け出すことができます。この施設は山の中にありますが、徒歩でも二時間も歩けばなんとかバスが通っていそうな大通りに出ることができます。 おめでとうございます、帰還成功です。生還報酬として2d10のSAN値、またムーン=レンズの守護者に気に入られた探索者にはクトゥルフ神話技能が5与えられるでしょう。 エンドB【黒山羊に祝福されし者】 無残にも黒山羊の信者たちに倒されてしまったあなたがたは、暗くなりかける意識の片隅で「いあ、いあ、偉大なる千匹の黒山羊の母よ!ここに来て生贄を受け取りたまえ!」とあの痩せた男の声を聞くでしょう。 そしてぶにょりとしたゼリー状のものに体を包まれる感覚が起きたと思うと、いっそ幸福感を覚えるほどの心地よさがあなたがたを襲います。 このムーン=レンズの守護者に食べられた探索者たちは自分の体が新たな生物へと組み変わっていくのを感じながらゆっくりと意識を闇へ落としていくでしょう。そうして新たな祝福されし黒山羊の仔として生を受け、この暗い刑務所内をシュブ=ニグラスの眷属として歩き回ることでしょう。 おめでとうございます。キャラロストです。この探索者は現実世界では行方不明として扱われることでしょう。 もし知人のキャラクターが当シナリオをプレイしたなら、うろつきまわる黒山羊の仔の顔がここでロストした探索者のものであることがわかるかもしれません。 |
真相 | ムーンレンズの守護者を崇拝している黒山羊のカルトの一派がその昔日本に逃れ、旧日本陸軍に潜み捕虜を生贄として捧げていた。 日本が敗れて後もこのムーンレンズの住処と繋がる地下洞窟を備えた刑務所を使って細々と生贄を捧げ続けていたのだ。 あなたがたは黒山羊のカルトに目をつけられ、生贄として捧げられそうになっている。どうにかしてこの刑務所から逃れなければ、生きる望みはないだろう。 |