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system:CoC6版

使用可能サプリ:CoC6版2010・2015
KP難易度:★☆☆☆☆
 シナリオ中の秘匿情報、PLのケアにご注意

フローチャート HO1秘匿情報
HO2秘匿情報
MAP

導入
1:シャッター
2:駅員室
3:電光掲示板
4:トイレ
 5:2Fホーム
  6:エンディング

補遺:真相
   NPC立ち絵素材(illust・なこ様 クリックでDL)
HO1秘匿情報 ◆HO1:
あなたは『トビコミタイ』という都市伝説を知っている。
池の淵、交差点の縁石、屋上の端、電車の来るホーム。そういった、いかにも人が身投げしそうな場所に綺麗に揃えられた靴が置かれており、耳元で「トビコミタイ」と囁く声がする。ただそれだけ。
しかし怪談は更にこう続く。
『トビコミタイ』の話を聞いた人間は、次のターゲットにされてしまう。『トビコミタイ』は噂から噂へ憑りつき、仲間を求めているのだろうか。この都市伝説を知った人間を死に追いやる。 事実、あなたに『トビコミタイ』の噂を教えてきた友人は、三日前に謎の投身自殺をはかり。現在も意識不明のまま入院している。
あなたは、次に死ぬのは自分だと知っている。

***
シナリオ中、このHOに触れるようなキーワードや会話を聞いた場合はすぐに【アイデア】を振り、成功したならHO1は以下の内容を追加で思い出します。
例:HO2からの自身の死についての告白、三日前に投身自殺を図った友人が誰なのかという追及

◆HO1の追加情報:
あなたは、思いだす。それは、噂を聞いた記憶。誰かがトビコンだ記憶。そして今も入院しているはずの友人の記憶。
しかしそれはまるで記憶を曇らされているかのようにおぼろげで、確かに親しい友人であるはずの相手の顔も名前もまるで思いだすことができないという事実だった。
HO2秘匿情報 ◆HO2:
あなたは、死んだ。
三日前、電車を待つホームで突然「トビコミタイ」衝動にかられ、そのまま飛び込み自殺をしてしまった。
引き摺られる体。嗤う何か。……あなたは自分が死んだことを理解している。
しかしどういうわけか、友人には自分が見えているらしく、普段通り接してくる。友人は自分が死んだことに気がついていないらしい。
あなたは知っている。そろそろ別れの時間だと。今日は前々から約束をしていた、ふたりで出掛ける日。
何も知らない友人と、最期のこの時をふたりっきりで、遊ぶことにする。
※あなたは現在ロスト状態にはありません。通常通り技能を使用したり物を持つことができます。シナリオ終了時のエンディングにより、ロストかどうかが確定します。

***
シナリオ中、このHOに触れるようなキーワードや会話を聞いた場合はすぐに【アイデア】を振り、成功したならHO2は以下の内容を追加で思い出します。
例:HO1には三日前に投身自殺した友人がいる、トビコミタイという都市伝説の概要

◆HO2の追加情報:
あなたは、思いだす。トビコミタイ、という噂。その噂を聞いた人間を死に誘い、自殺させる呪われた都市伝説。
あなたは思いだす。その噂を、HO1に面白半分に伝えたことを。そして、この駅で都市伝説に負け、衝動のままに投身自殺してしまったことを。
最後の記憶は電車に引き摺られる体、血塗れの車体、それきりだった。
MAP トビコミタイ・駅構内MAP
導入 あなたがた二人は、前々から約束していた通り、少し遠くへ出掛けることにしました。とはいっても、電車一本揺られるだけの小旅行程度のもの。
※どこに出かけるかはPLに任せて構いません。どこにも着けないのですから。

HO1のみ描写:日常の異常

久しぶりにふたりっきりで出掛けることに浮かれるHO1は、しかし。ふと視界の端に妙なものを見てしまいます。
靴。 綺麗に揃ったスニーカーが一足、ぽつんと。交差点に今しがた飛び込んだ誰かに置いていかれたかのように。縁石の上であなたを待っているのです。
どこもおかしなところはないはずの光景。あれだって誰かが置いただけ、そうに決まっている。あなたの願いを押しつぶすように。
「ト ビコ ミ タ ィ」
脳に直接流し込まれるような声を聞き、〔0/1d3〕のSANチェックです。
ぞっとする声を振りきるようにもう一度縁石を見れば、しかしそこには何もありません。歩道の向こうにはただ車がごうごう走っているばかり。


時計を見ればまだ朝。ゆったりとした時間が流れ。目的の電車の時間までは、少し間があるようです。
ちらほら開店しはじめた駅近くの商店街。セレクトショップや、フラワーマーケットが並ぶ通り。駅を目指して歩くお二人の前に、ふと見えたのは真黒な猫。
威風堂々として逃げる様子を見せぬ猫は、あなた方を見て一声、にゃーおと鳴き、HO1にすり寄って甘えてきます。
しかし、同様に猫はじいーっと見つめるようにHO2を見てきます。猫は例えHO2がどれほど構ったとしても。ただHO2をしげしげと見つめ、触れられる前に逃げてしまいます。
もし猫と触れ合うのであれば、そのふかふかさに1d2のSAN値回復です。
やがてあなたがたの前に地元の駅が見えてきます。売店がひとつ、自動販売機がひとつ、自動切符売り場に自動改札機がある。至って普通の駅です。

・主な使用可能技能
【目星】で辺りを見渡せば、この駅はどこにでもあるような至って普通の駅だということがはっきりわかります。
それと同時にこのような張り紙が、申し訳なさそうな隅っこにぺたりと張ってあるのを見つけるでしょう。
《お詫び (3日前の日付)、発生しました人身事故により全線において遅延が発生しましたことをお詫び申し上げます。》
【聞き耳】で多くの人が行き交う中、女子高校生がきゃいきゃい噂をしているのが聞こえます。
「なんか最近、人身事故多いよね」「投身自殺?迷惑ー」

HO1のみ描写:幻聴

HO1が【聞き耳】に成功した場合、多くの人の囁きがこそこそひそひそと異様に耳につくように感じます。
脳をくすぐられているような、虫が這いずり回っているような不快感は次第に大きくなり。
「トビコミタイ」「トビコミタイ」「トビコミタイ」「トビコミタイ」「トビコミタイ」
そんな言葉が何重にも重なり、周囲の人間たちが唱和しているにも感じ──。
は、と我に返った時には、そこにはただざわめく人間の群れがいるだけでした。
脳をくすぐる幻聴に〔0/1d2〕のSANチェックです。


目的地までの料金を確認し。改札を通った瞬間、再びあの声がしました。
「トビ コ ミ タ イ」
ぞ、っとするそれが聞こえたと思えば、ジリリリリリリ、と警報が鳴り響き。
続いてガシャーン!というけたたましい金属音と共に駅の広い出入り口にシャッターがすごい勢いで下ろされました。きっとあそこにいれば挟まれて死んでいただろう、そう思えるほどの勢いで。
駅員に、と見回すも。気がつけば辺りには誰もいません。天井の蛍光灯が暗く明滅し、しんと静まり返った駅舎。辺りは異様な雰囲気に包まれます。この異常な現象に〔1/1d2〕のSANチェックです。
あなたがたの正面にはトイレ、脇には駅員室、背後にはさきほど閉まったシャッター、頭上には電光掲示板。そして階段を上がったところに電車が来るホームがあるとわかります。

探索可能箇所:シャッター・駅員室・電光掲示板・トイレ・2Fホーム
1:シャッター 固く閉じたシャッターです。持ち手はひとつしかなく、PCが力を合わせることは難しそうです。
(HO2と同値のSTR)との【STR対抗】でほんの僅か持ちあげることができますが、持ちあげた瞬間にどろ、と汚らしい赤黒い液体が漏れだしてきて〔0/1d2〕のSANチェックです。
持ち上がったシャッターの向こう側からはまるで液体で満たされているかのようにとめどなく赤黒いものが泡を吐いて零れ落ち、これ以上持ちあげることはできません。

シャッターを開け、液体が流れ出した場合、イベントが発生します。
両者に【目星】を振らせ、成功した探索者はシャッターの上に何か白い蛆のようなものが蠢いているとわかります。
よくよく目を凝らして見れば、それは蛆ではなく。シャッターと天井のほんの僅かな隙間から。まるでゴム手袋のようにぐんにゃりと皮膚を歪めながら指先をばらばらに動かして外へはいずり、金属性のシャッターを楽しげにべちべち叩いている、白い生肉でできた人間の腕のようでした。
眩暈がしそうなものを目撃し、〔1/1d2〕のSANチェックです。
2:駅員室 ガラス窓から覗いた駅員室は無人のようでした。
扉には鍵がかかっておらず、どこにでもありそうな古い扉は簡単に開きます。壁には《飛び込み防止強化月間》というポスターが貼ってありました。
駅員室の中には業務用のノートや筆記具が乗った机、落としもの箱、電話、画面が真黒になったパソコンなどが置いてあるのも見えるでしょう。

HO2のみ描写:駅員室の扉・机の上

駅員室の扉:駅員室の扉には子供が書いたような字で「ひみつきち」と書いてありました。
机の上:机の上に見落としようもないほど堂々と、絵が描かれた大きな画用紙が置かれています。
子供が描いたような稚拙な塗りつぶしの絵には黒っぽい電車と、《でんしゃはつよい。でんしゃはすごい。ぶつかったらみんなしんじゃう。ぼくもしんじゃう》という文字が書かれていました。
もしもHO2がこの絵を持ちあげたり、裏面を見ようと触れたりすれば、それはたちまち実体を持ちHO1にも見えるようになります。
HO1にとってはHO2がくるりと手を裏返したと思えば、まるで手品のようにその場に突然画用紙が現れたように見えるでしょう。唐突に現れた画用紙に、HO1のみ〔0/1〕のSANチェックです。
絵の裏にはこんな文字があります。《しょうらいのゆめ でんしゃ》


探索可能箇所:机・落とし物箱・電話

2-a:机
机にはごく一般的な筆記具や業務ノートが置かれており、まるで今しがたまで人がここにいたかのように書きかけのまま放置されています。
ぱらぱらとノートを捲ると、一枚の書類がはらりとその場に零れ落ちました。
《人身事故報告 正田あつし 7歳 ■月■日午後■時 駅ホームからの転落による事故死
発見状況 終電間際のホームから子供が落ちるのを数人が目撃するものの運転士が見落とし、あつしくん死亡。
ホームには子供用の靴が綺麗に揃えられて置かれていた》


2-b:落とし物箱
スマホや電車のおもちゃ、誰かの忘れた傘や財布といったごちゃごちゃと物が入った落とし物箱です。

・主な使用可能技能
【目星】に成功すると一冊の本と黒い液体が揺れる小さな瓶が入っているのを見つけます。
瓶にはタグがついており、それには子供っぽい字でこうありました。
《ゆうしゃのどく。こうか:そのゆうきをたたえて まえの人と一回だけこうたいする》
本は市販品のようで、少し擦り切れた立派な装丁には《ダニッチの怪》というタイトルがついています。中の物語は、市販されているダニッチの怪と全く同じもののようでした。
あらすじには邪神の落とし子である暗黒の子が村を襲い、それに立ち向かう主人公らが暗黒の子を滅ぼし村に平和が戻る、と書かれており。
本の奥付には、丁寧な万年筆の字でこのようなメッセージがありました。
《我が孫へ。この本を教科書にしなさい、お前によく似ているから。》

HO2のみ描写:落とし物箱

落としもの箱には、子供の字で無邪気にも「たからものいれ」と書いてありました。
中に入っているものといえば、ガラクタめいたおもちゃだの、擦り切れた本だの、到底高価であるようには見えないものばかりだというのに。


2-c:電話
電話をかけようと受話器を持ちあげると、受話器からは
「トビコミタイトビコミタイトビコミタイトビコメトビコミタイトビコミタイ」
という声が流れ出します。不気味な声を聞き、〔0/1〕のSANチェックです。
見れば、今時珍しい据え置き型の電話の電話線はぶっつりと千切れ、ぶらりぶらりと断面を宙に晒していました。
受話器からは子供の実に楽し気な笑い声が、小さく聞こえたような気さえしました。
3:電光掲示板 電光掲示板を見上げると、このような文字がぴかぴかと光っているのが見えました。
『次の電車は あの世行き 特急 26両 2つ扉』
4:トイレ 至って普通のトイレのようですが、蛍光灯が切れているのか、中は真っ暗です。
暗いながらもおそるおそる中へ入ると、不意にばっ!と灯りがつき、同時にガシャーン!と鏡が割れる音が響きます。はっとそちらを見れば、割れた鏡に描かれた真っ赤な文字が目に入りました。
《助け■■れやら■るこわい飛び込みたく■■■あいつあいつ あいつを■せ!》
ところどころが塗りつぶされた、不気味な文字に〔0/1〕のSANチェックです。

HO2のみ描写:トイレ

トイレの床中に、クレヨンで描いたカラフルな線路に見える絵が見えます。
緑、青、黄色、と楽し気な色合いで描かれた線路の上には真っ赤に塗りつぶされた人間の手足がバラバラに描かれ、床一面にバラバラ死体が散らばっている心地になるでしょう。
出口近くの線路からは矢印も引かれ、それはホームへと続く階段を指しているように見えました。

5:2Fホーム ホームに到達してからは行動によるイベントの連続になります。
暗く、狭い階段を上がり。ホームに上がったあなたがたは、空がやたらと暗いことに気が付きます。
まるで夜のよう。
屋根の切れ間には赤い満月が浮かび、ぽつぽつ立っている電灯がひどく不安をかきたてます。
広いホームには線路がどこまでも続き、気が狂いそうな遠くまで延々と長く伸びて見えます。
ふと、電源が入ったのか。頭上にあるスピーカーからがりがりという雑音が聞こえ始めました。
『ピーん…ポーん…』
『…マモナク、ホームに電車が参ります』
『危険デスノデ、靴を脱いで、黄色い線の外側マデ オススミクダサイ』

黄色い線の外側。そこに目をやったあなたがたは息を詰まらせるでしょう。
靴。
靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴靴。
ホームの外へ爪先を向け、びっちりと綺麗に靴が並べられているのです。
くたびれた革靴も、汚れたスニーカーも、綺麗なヒールも、大人しそうなローファーも。
まるでそこから、誰かがきちんと靴を脱ぎ。線路に向かって飛びこんだように。
ぞっとするような光景に、〔0/1d2〕のSANチェックです。

SANチェック終了後、あなたがたは遠くに、この地獄のような景色には似つかわしくない、黄色やオレンジやピンク。それらの色がひとところに固まっているのを見つけます。
はっと視線を向ければ、そこにあったのは牛乳の空き瓶に入れられた、花。
菊やガーベラなどの色鮮やかな花が活けられ、それで重石をするように絵が一枚、地面に落ちていました。
絵には黒い人間が手を繋いでいる様子と、このようなクレヨンの文字が書かれているのが見えます。
《でんしゃはれんけつ じゅんばんじゅんばん ながいでんしゃをつくるためのるーる とびこんじゃったら つぎのひとをさがしましょう》
隣には、子供用のキャラクターが書いてある靴が綺麗に揃えて置いてあります。まるで子供用の靴が先頭であるかのように。その先にはもう靴はありません。

絵を発見した後、ふとHO1の耳元で「はぁー、はー…」という吐息が聞こえます。
それは想像と寸分の狂いもなく、おぞましい声をして。
「ト ビ コ ミ タィ……トビ コミ タ ィぃ……」
視界の端に白い手が映る。それは死肉の色をして、明らかに白く生々しく見えます。
手はHO1の顔をひっかき、目に指をかけ、無理矢理ホームの端へ引き摺って行こうとします。ここでHO2のSTRと同じ値との【STR対抗】を行ってください。 STR対抗に勝利したなら無傷で、敗北したなら顔に爪痕をつけられながらも逃れることができます。敗北した場合はHP-1してください。
あなたがその何かから逃れると、それはHO1に伸ばした手もそのままに死にかけた電灯の下へとゆっくり姿を晒します。
見えた、それは。
生白い手。繋がる肩。上に辿っていけば、首。首に乗るは血の気の失せた、HO2の死んだ顔。
それはにたりと自分自身に嗤うと、先程と同じトーンで。もう一度こう言いました。
HO2「トビ、コ、ミ、タィ」
見せつけられた現実の姿に、〔1d2/1d8〕のSANチェックです。

SANチェック後、最終イベントに入ります。
ふとHO2の背後に異様な影が迫り、避ける暇もなくHO2をむんずと掴みあげました。あなたの手を、足を、胴体を押さえる腕が一本、二本、三本…いやまだ多い。
一人の人間には決してついているはずがない本数の腕ががっちりとHO2を捕らえます。
はっとそちらを見れば、そこにあったのは人間の煮凝りとしか表現しようのないグロテスクな肉塊。
多くの人間を煮溶かしてゼラチンで固めた、赤黒いぶよぶよとした塊からまだそうとわかる腕が足が髪が顔が口鼻目歯指目目目腕手髪骨足手が手が手がだらりと突き出ているのです。
気が遠くなりそうな造形の人肉粘土細工を目撃した探索者は、〔1/1d4〕のSANチェックです。
肉塊は暴れるHO2をじわりじわりと侵食し、肉の中へ埋めていきます。
やがて、HO2の手足が埋まり身動きがとれなくなるほどに自らの中に埋め込んだ時。HO1の服の裾がくい、と引っ張られます。
そこにいたのは子供。
小学校の制服を着て、足にはキャラクターものの靴を履き、「正田あつし」という名札をした、顔色の悪い子供が。
ゆっくりと、あなたを見上げ。
「「「「「いっシょにトビコモウよおぉぉお」」」」」
全てのスピーカーと、肉塊に開いた口と、子供の虚ろな喉から割れんばかりの声が聞こえ。〔1/1d2〕のSANチェックです。
にたにた笑う怪異たち。彼らはHO1を仲間にしようと迫ってきます。
そして、最終ベルを鳴らすように。ホームにひび割れた放送が流れました。
『……電車が到着しまス。電車ガ電車電車到着クククシマススス』

もう時間はない。飛び込んだ先にあるのは、電車に轢かれる未来。あの電車が到着するまでが、あなたの命のタイムリミット。
行動できる時間は、ほんの僅か。たったひとつ、何かをすることだけ。
二人で話しあい、RPの結果。どうするか決定、宣言してください。
また、HO2は【POW*5】に成功したなら最後の宣言時に肉塊を自分の体のように操って行動することができるでしょう。

※この話しあいにはシナリオ上時間制限はありませんが、もしもあまりに長引くようでしたら制限を設けても構いません。
また、これ以降PCふたりの会話以外は全て行動とみなしてください。それが子供に話しかける、であっても行動として判定されるとPLにお伝えください。


宣言により、エンディングが分岐します。
◆エンドA→二人で飛び込む、または両者肉塊に埋もれる、HO1だけが逃げ出す
◆エンドB→HO1がゆうしゃのどくを飲む
◆エンドC→HO2だけが飛び込む、HO2がゆうしゃのどくを飲む
◆エンドD→あつしくんに攻撃宣言

分岐後の描写はその時の状況によって多少変更を加えてください。
6:エンディング エンドA【ぼくの じまんのでんしゃ】 この怪異に耐えられなくなったのか、足を踏み外したのか。
HO1の体が宙に浮き。ホームの端から、黄色い線の外側から。線路へと真っ逆さまに。
落ちて、落ちた、その先に見えたのはこちらへを真直ぐ見る閃光と、閃光の奥でげらげら笑う人間の顔の皮、皮、皮。貼りついた呪いの電車は確かに26両の長さをして、あなたを27両目にしようと迫り。
ぐしゃり。
脳が潰れる音を最後に、あなたの意識は途絶えました。

ふと気がつけば、あなたは包まれるような暗闇の中に横たわっています。手には暖かいものが触れ、先を辿っていけばそこには眠るように目を閉じたHO2が見えました。
声をかければHO2はその声に応え、HO1とひとときの言葉を交わすこともできます。
HO2のもう片方の手はまるで溶解しているかのように違う誰かと繋がれており、その先も、その先も。延々人間が連なり眠っているのが見えます。
ふと、あなたの前にキャラクターの描かれた靴を履く子供が立ちました。
両手に本と、絵と、瓶を抱えた子供は、それをばらばら地面に落とすと「つぎのひとを さがしてね」と言ってにっこり笑います。
あなたは知っています。この安寧たる呪いの中に留まる方法を。
HO2と共に、永遠に穏やかな夢を見る方法を。
辛苦もなく、こどもの見る夢の中で揺蕩うために。あなたは次の犠牲者を探すため。HO2と繋いでいた手を離し立ちあがります。
……かくして、呪いは未だ続き。今日も誰かの耳元で聞こえるのでしょう。
「トビコミタイ」と。

さようなら。病院にあるHO2の呼吸は止まり、おふたりはロストしました。穏やかな呪いの夢の中、電車は続き。新たな犠牲者を探しに行くのでしょう。


エンドB【あなたが死ぬくらいなら】
HO1が瓶を開け、ゆうしゃのどくを煽る。と同時に、ぐらりと天地が傾ぐような心地になります。
あなたは毒を煽りその場にどさりと倒れ、自分の命がゆるりと尽きていくのを感じます。しかし、それと同時に視界の端に見るでしょう。
今にも肉塊に取りこまれそうになっていたHO2が突如として吐き出され自由になり、死にゆくあなたに茫然と視線を向けるのを。
あなたがたは感じるでしょう。HO1の命がとくとくと、とくとくと。毒によって失われたぶんだけHO2に注がれ。生と死が逆転していくのを。
黒く薄れゆく視界の中、子供の笑い声がしました。
「ゆうきをたたえて こうたいね」
HO2がはっと目を開けると、あなたは病院のベッドの上に寝かされていました。
無機質な機械音が響く白い室内。枕元のナースコール。じきに検温にやってきた看護婦が、あなたの意識が戻っているのを見て慌てて医師を呼びに行くでしょう。
一通りの検査が終わった後、何も知らない看護師はのんきにこう言います。
「意識が戻ってよかったわ。飛び込み自殺なんて馬鹿な真似、もうしちゃだめよ。さっき運ばれて来た患者さんもそうだけど、大抵は助からないんだから……」

おめでとうございます。HO1ロスト、HO2生還です。生還報酬として1d10の正気度を得て、PC2はひとり。この先も生きていくのでしょう。


エンドC【見逃してあげる】
HO1がHO2に毒を飲ませると、HO2はひどく苦しみだし、やがて静かになります。
それは命が尽きたことの証。抵抗のなくなった体は肉塊へとずぶずぶ沈み、やがて全てが埋もれてしまいます。
驚くPC1に向かって、顔色の悪い子供が意地悪な言葉を投げかけます。
「こーろした、こーろした」「おまえがころした でんしゃになった」「おもしろかったから みのがしてあげるね」
子供は嗤いながらホームに駆けだし、はっと瞬きの瞬間に暗がりにその身を溶かして消えてしまいます。あなたはその背中に縋りつくこともできず、一瞬の眩暈の後。
気がつけばそこはいつもの駅のホーム。辺りには通勤通学の学生や社会人が行き交い、駅員がきちんと仕事をしているのが見えます。

おめでとうございます、HO1生還、HO2ロストです。じきにあなたは聞くでしょう。HO2が病院で息を引き取ったと。生還報酬1d10の正気度を受け取り、あなたは罪を負ぶって歩きだします。


エンドD【ふたり】
HO1の服の裾を掴む子供の背中を押す、たったそれだけの単純な動作で、子供はあっけなくよろけ、転び、そしてホームの端から転落します。
驚愕に見開かれた表情と、あなたを掴むように宙に伸ばされた手は、しかし。直後に通過する電車によって。
潰れ。ひしゃげ。ぐしゃりという嫌な音と血飛沫が舞い散ります。
子供の千切れた手がべちゃりと落ち、確かに跳ねられ死んだのだと確信するに足りる出血がどろりとホームに流れ。
それを確認すると共に、HO2を飲みこんでいた肉塊もまた。まるで電車に跳ねられたかのように、その肉片をぐちゃり、べしゃりとはがされ千切られ、小さくなっていくのが見えます。
肉塊から吐き出されたHO2の体。その体を見れば、誰だって異常だということがわかるでしょう。それは光になって解けるように、静かに宙へと溶けていくのです。
もしHO1がHO2を受け止めるのであれば、相手の体が羽ほどに軽いことにも気がつくでしょう。そこには魂の重さしか存在しない、ひどくあやふやな存在となっていました。
溶け解ける、崩れていく。その体で言葉を交わすことができるのは、ほんの僅か。遺言ほどの時間だけ。
HO1の前でHO2はゆっくりと消えていき、気が付いた時にはHO1はいつもの駅のホーム。
駅員があなたを心配そうに見つめ、電車が向かいの線路を通り、くたびれたサラリーマンやら、女子高生やらがスマホを弄る日常の風景の中。
HO1のスマートフォンが駅のホームで鳴り響くでしょう。
かかってきたのは、近くの病院から。そして事務的な声の女性がたった一言、こう伝えました。
「(HO1)さんですか?今、(HO2)さんが意識を取り戻されまして……」
HO2が目を覚ました、真っ白な天井と真っ白なベッドの上。それはまぎれもない消毒液の匂いをさせた、近所の病院のベッドの上でした。

おめでとうございます、両者生還です。生還報酬として1d10の正気度を得、これからもふたり。生きていくことができるでしょう。
真相 暗黒の祖先100、とある邪神の落とし子である「正田あつし」はその悪意をもってして電車に自ら飛び込み、トビコミタイという名の呪いとなり果てていた。
それは「噂を聞いた者」に感染する呪い。
都市伝説として静かに流行り始めたそれを誰かから聞いたHO2は何気ない気持ちでHO1に伝え、その後呪いに負けて投身自殺してしまう。
しかし電車のブレーキが間に合ったことで一命をとりとめ、意識不明の重体で入院している。
HO1はそれを知っているはずだが、どういうわけかHO2が入院しているということを《記憶を曇らされた》かのように忘れてしまっており、またHO2も自分自身がまだ生きているということは把握できずにさまよっている。
それはトビコミタイの呪い、根本のルールである「飛びこんだら次を連れてくる」という部分に囚われているため。
HO2は半死半生の状態で不完全ながらも呪いへと変貌し連れて行く対象であるHO1と共に飛び込んでしまったあの駅へと戻ってくる。
あの日、あの場所であそぼう、という約束をよすがに。

NPC_あつしくん illust・なこ様
正田あつし画像

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